医師の皆さんならきっとわかって下さると思いますが…税金って高いですよね。
税金を少しでも抑える方法、いわゆる節税という類の者の中に、実は「家族」を絡める方法がある、というのはご存知でしょうか?
意外と知らないという方も多いのでは無いかと思います。
今回は、家族など「税率の違う人」をうまく使い分ける事で、節税する方法についてです。少しでも節税するための参考になればと思います。
家族に給料を出して節税する
法人をお持ちの場合、家族に働いてもらって、給料を出す事は可能です。
実際、税率の低い個人、つまり所得の低い個人が家族にいれば、法人の利益を個人に移すにあたって、可能であればその人を通していれば、結果的に税金は低く抑えられます。
例えば極端な話ですが、所得がゼロの専業主婦と、年収2000万円の勤務医であれば、税率が大きく違うので、同じ「給料を出す」という行為でも手取りが大きく異なってくるのは、お分かりいただけるかと思います。
ここで問題になるのは
● 一体どれくらいの給料なら出しても問題ないのか
という事です。
結論から言えば、税理士の先生に聞いてみるのがベストです。
多くの場合、月20万円くらいであれば、一般的な業務に対する対価として、著しく乖離している金額とは言いにくいため、問題のない場合が多いようです。
年間240万円ですが、これも年収2000万円の人がもらうと、半分くらい税金で引かれてしまいますが、専業主婦を通していれば、税金は比較にならないくらい低く抑えられるでしょう。
正直、あまりに高額だと個人の税率も上がりますから、逆に言うと「そんなに高い金額を支払う意味」も、実は薄いのではないかという話でもあるのですが…。
同一会計の家族を扶養にして節税する
これも意外と知られていない方法ですが
● 同一会計の家族を扶養にする
という手法で、税控除を受ける事ができます。
具体的には
・退職したが年金はもらっていない両親
・退職したが働いていない兄弟
などです。
特に前者、退職はしたものの年金はもらっておらず、収入がないという両親がいれば、同一会計である前提ではありますが、扶養に入れて税控除を受ける事ができます。
医師の年収は高額で、税率も伴って高いのが一般的ですから、そういった高年収の医師が控除を得る事ができるというのは、一般的なサラリーマンがやるよりも、かなり大きな節税効果を生み出します。
この手法の問題は、適応期間があまりにも短いという点です。
働いてもおらず、年金も貰わない両親なんて、正直今の時代はあまりいないのかもしれません。今の60代、元気ですからね。
法人を使い分け節税する
最初の「年収の低い個人に給料を出す事で節税する」という手法に関連して、法人の利益も金額に応じて分けていく方が、効率的です。
課税利益が年間800万円を超えた分に関しては、法人税の税率が上がってしまうからです。
例えば1つの法人で年1500万円を計上すると、800万円を超えた700万円分に関しては高い税率が適応されてしまいます。これを防ぐために、1500万円であれば750万円ずつくらいになるよう、法人を2つに分けてしまえば、ともに800万円以下に抑える事ができていますから、法人に残るキャッシュの合計値は最大化されます。
法人を分けて、その株を1社がまとめて保有する「ホールディングス」という体系は、ガバナンスや意思決定の統率を取るメリットもありますが、グループ全体のキャッシュを最大化させるというメリットもあります。
事業ドメインごと分社化するか、新しい事業を始める際は最初から会社を別にして始めるか、してしまうのが簡単です。
最後に
いかがでしたでしょうか?3つもあると、一体どれから手をつければ良いのか、わからなくなってしまうという方もいらっしゃるのではないでしょうか?
その場合、オススメなのは
1.可能なら親を扶養に
2.可能なら家族に働いてもらって給料を出す
事から、始める事です。
扶養控除は、シンプルに税金が安くなります。
家族に給料を出すのも、法人から見れば経費になって課税利益の圧縮につながります。最後の「法人の課税利益年800万円ライン」を少しでも守るために、道具としても使えるというわけです。
さらに、家族全体で見れば多少は税金が取られるものの、それでも年収2000万円の医師が高い税率で追加で働くよりは効率的にキャッシュが多く残るようになります。
まずはこれらをキッチリと1つの法人でやってみて、それでも課税利益が年800万円を大きく超えてくるようであれば、分社化を検討すべく、顧問税理士に相談してみる。
この流れが、最も効率的でラクだと思いますので、オススメです。
やはり税理士は税のプロですから、この辺の話は包括的に、全体を広くみて、最も利益のありそうな手法を提案してくれるはずです。もし「うちの担当税理士は、そんな事はしてくれない」というようであれば、最初にやるべきは「担当税理士を変える事」かも、しれませんね。
▼著者
大石龍之介
株式会社ブルーストレージ代表取締役。医師としてクリニックに勤務しながら、不動産投資家としても活動している。