勤務医の年収は多くの要因によって左右されます。本記事では、特に年収の中央値について詳しく解説し、勤務医としてのキャリア向上に役立つ情報を提供します。
勤務医の中央値と平均年収の違い
勤務医の中央値と平均年収の違いについて解説します。
中央値
中央値は、すべてのデータを小さい順から並べたときの中央に位置する値を指します。
勤務医の年収における中央値は、全体のちょうど真ん中に位置する勤務医の年収を示し、極端に高収入または低収入の影響を受けにくいのが特徴です。
たとえば、5人の勤務医の年収が「800万円、1,000万円、1,200万円、1,800万円、3,000万円」の場合、中央値は3番目の1,200万円になります。
平均値
平均年収は、全員の年収を合計して人数で割った値を指します。
勤務医の年収では、一部の高収入層が平均を押し上げるため、全体の実態とは少し異なる印象を与えることがあります。
例:同じ5人の勤務医の場合
(800万円 + 1,000万円 + 1,200万円 + 1,800万円 + 3,000万円) ÷ 5 = 平均値1,560万円
勤務医の年収中央値はどれくらい?
勤務医の年収中央値を属性別に紹介します。
【全体】勤務医の年収中央値
株式会社メディウェルが2024年2月に実施した調査によると、医師勤務医の年収中央値は1,700万円となっています。
勤務医の年収中央値は勤務先によって異なります。
勤務先 | 年収中央値 |
大学病院 | 1,500万円 |
大学病院以外の病院 | 1,700万円 |
クリニック | 1,700万円 |
出典:【2024年版】医師の年収に関するアンケート結果(医師1,955名調査)
大学病院の勤務医の年収中央値が低い傾向にあることがわかります。大学病院には若手医師が多いため、年収の中央値が下がっていることが予想されます。
出典:【2024年版】医師の年収に関するアンケート結果(医師1,955名調査)
【男女別】勤務医の年収中央値
年齢 | 男性 | 女性 |
29歳以下 | 1,100万円 | 900万円 |
30代 | 1,700万円 | 1,100万円 |
40代 | 1,900万円 | 1,300万円 |
50代 | 1,900万円 | 1,500万円 |
60代 | 1,900万円 | ー |
70歳以上 | 1,500万円 | ー |
出典:【2024年版】医師の年収に関するアンケート結果(医師1,955名調査)
男女別の勤務医の年収中央値を比較すると、どの年代においても、男性のほうが年収が高い傾向にあります。
これは、男性医師の方が、より高収入の専門医や指導医に就く割合が高いことや、女性医師の方が、育児や介護などの家庭事情で、勤務時間を短縮したり、キャリアアップを諦めたりするケースが多いことが原因と考えられます。
ただし、近年では、女性医師の活躍を支援する制度や環境が整備されつつあり、今後、男女間の年収格差はさらに縮小していく可能性があります。
【年齢別】勤務医の年収中央値
出典:【2024年版】医師の年収に関するアンケート結果(医師1,955名調査)
年齢別の年収中央値を見ると、一番低いのは29歳以下で900万円、一番高いのは50・60代で中央値は1,900万円という結果になっています。
年齢別の年収中央値は、一般的に年齢を重ねるにつれて上昇する傾向にあります。これは、経験や実績を積むことで、より高度な医療行為を担うようになり、給与も高くなるためです。また、年齢を重ねることで、指導医や管理職に就く機会も増え、年収がさらに上昇する可能性があります。
【診療科別】勤務医の年収中央値
出典:【2024年版】医師の年収に関するアンケート結果(医師1,955名調査)
以下の診療科の年収中央値は1,900万円でした。
- 麻酔科
- 消化器内科
- 整形外科
- 循環器内科
- 消化器外科
- 脳神経外科
同調査によると年収2000万円を超えている医師が最も多い診療科は脳神経外科でした。より高度で緊急性の高い診療科ほど、年収が高い傾向にあります。
勤務医の年収が割に合わないと言われる理由
勤務医の年収が割に合わないと言われる理由を紹介します。
労働時間が長く不規則な勤務体系
勤務医は、労働時間が長く、不規則な勤務体系であることが多く、プライベートの時間を取りにくいという課題があります。
特に、救急科や外科系などの専門医は、夜勤や当直が頻繁にあり、休みが不規則になりがちです。
また、オンコール体制をとっている病院では、常に携帯電話を持ち歩き、呼び出しに対応する必要があり、精神的な負担も大きくなります。
責任が重くストレスが多い
勤務医は、患者の命を預かる責任が重く、常に緊張感を持って仕事をする必要があります。
また、医療ミスや訴訟のリスクも常に付きまとっており、精神的なストレスを抱えやすい職業です。
さらに、近年では、医療現場の負担増加や医療費抑制などの問題もあり、勤務医のストレスは増大傾向にあります。
勤務医の年収を上げる方法
勤務医の年収を上げる方法を紹介します。
診療科を変える・専門性を高める
年収を上げるためには、診療科を変える、または専門性を高めることが有効です。
例えば、外科系や救急科などの専門医は、他の診療科と比較して緊急性が高く、手術に関する高い技術力も求められる傾向にあるため、年収が高くなる傾向にあります。
また、過疎地域にいる専門医は、多くの患者が集まるため、年収が高くなる傾向にあります。
夜勤や当直の活用
夜勤や当直は、時間外労働として、割増賃金が支払われるため、年収を上げる効果があります。
ただし、夜勤や当直は、体力面や精神面での負担が大きいため、無理のない範囲で活用することが重要です。
副業やアルバイト勤務の活用
副業やアルバイト勤務は、収入を増やす効果があります。たとえば、セミナー講師や記事の執筆、他病院の非常勤医師といった副業が挙げられます。
ただし、勤務医は、労働時間が長く、不規則な勤務体系であるため、副業やアルバイト勤務をする時間を見つけるのが難しい場合があります。
また、副業やアルバイト勤務をする場合は、病院の許可を得る必要もあるでしょう。
まとめ
勤務医の年収は、診療科、地域、病院の規模や勤務先など、様々な要因によって大きく異なります。
近年では、勤務医の待遇改善が進められており、年収が上昇する傾向にあります。
しかし、労働時間が長く、不規則な勤務体系であることや、責任が重くストレスが多いことなど、勤務医には課題も多く存在します。
年収を上げるためには、診療科を変える、専門性を高める、夜勤や当直を活用する、副業やアルバイト勤務を活用するなどの方法があります。
勤務医として、自分のキャリアプランを立て、年収アップを目指しましょう。