「幸せになるため、努力して医師になったのに…」
そんな気持ちで、今幸福感を感じる事ができていない医師は、一定数いるのではないでしょうか?
医師を目指した理由が何であれ、きっと根底には「良い未来が待っている」という期待感を胸に努力をしてきたはず。
もし今、その期待に対して答えられていないのなら…昔の自分が、可哀想ですよね。
今回は、医師人生の幸福度についてです。
医師人生の幸福度を高めるコツ
医師は使命感に駆られてなのか、自分の幸福をないがしろにしがちだと思います。
自分をある程度削ってでも、他人の健康や命にプライオリティを置いている、まさに医師らしい人々が多いというのは、あるかもしれません。
しかしながら、僕個人としてはこの「自己犠牲」の上にしか、成り立たない他人の健康や命について、医師側が責任を負う必要はないと思う派です。
いくら公共のために尽くす「公僕」といえ、自己犠牲を出してまで他人を助ける必要は無いと思います。
むしろ、医師側が自己犠牲を支払わなければ成り立たない医療業界の構造が問題なのではないでしょうか。むしろ今まで、医師側の使命感や自己犠牲に、頼り過ぎだったのではないでしょうか。
1、自己犠牲の限界を決める
自己犠牲の限界を決めて明確にラインを引く。
こうして「強制的に自己犠牲を支払えない」状態を作り出す事で、その場の感情や気持ちで動く事もなくなり、結果的に支払う自己犠牲を制限する事ができます。
こうして医師側の自己犠牲を、医師側から制限しないと、いつまでたっても制度と構造は変わりません。おんぶで抱っこです。
構造改革には痛みを伴いますが、それでも日本の医療の持続可能性を高めるためには、必要な事だとも思います。社会的に意義のある事です。
・週に2日は完全に休む
・待機に日以外は絶対に連絡を受けない
など、何でも良いです。自らの自己犠牲に、ラインをしっかりと引きましょう。
2、健康的な食事と定期的な運動
健康は生きる上での全ての基礎です。最も土台になる部分で、健康が損なわれている状態では、上に何を積み上げても無意味なものになってしまいます。
こんな事、医療現場で働いている医師であれば百も承知…のはずですが、なぜか自分の健康はあまり意識しない医師が多いのも事実です。
医師は忙しいので、どうしても食事もコンビニや外食になりがち。
しかしながら最近は、外食でも健康的な食事も増え、外食でもそれなりの食事も出始めました。一昔前とは大きく異なります。
コンビニで食事を買う際も、成分表示でカロリーや脂質等を気にして、メニューを考えるようにしましょう。
そして何よりも、定期的な運動は非常に重要です。
特に有酸素運動というよりは、やはり筋トレが重要です。これはフレイル予防という長期的な意味もありますが、筋トレによって増加したテストステロンなどによる気分の向上等の効果が大きいです。
健康をアドバイスする立場でもある医師。自らの健康にも意識を向けてみると、日々の診療にも自信を持って説得力のある説明ができるようになります。
医師人生の幸福の基礎となる、健康。あなたも気遣ってみませんか。
3、自分の価値を「医師としての評価」に置かない
最も重要でありながら見落とされがちなのは、メンタリティです。
特に医師は社会的な意義が高く、重みのある仕事ですから
「人間として自分の価値って何だろうか」
と考えた時にどうしても「医師である事」や「誰かを助けている事」を、あげてしまいます。
しかしながら、これはおかしな話です。
医師でなくても、例えば配管工の人だって、インフラを整備する事で生活を維持し、誰かを助けています。資本主義において「お金をもらって何かをする」という行為そのものが、誰かの役に立っているわけです。
医師だけがそのような意識を持つ事は、むしろ傲慢だと言えます。
人間としての価値は、仕事上での価値と一致しません。
医師としてどれだけ成果を出しても、1人の人間としての価値の判断軸は、また別にあります。
人間の価値=仕事の価値、というような狭いメンタリティで、強い使命感と自己犠牲の上に成り立つ医師は、脆く持続可能ではありません。
万が一、何かミスをしたり、大きな病気や怪我で働けなくなった時に、強い自己否定に陥ってしまう事でしょう。
医師という仕事は、あくまで価値の一部に過ぎない。これを自覚する事が、医師人生の幸福への第一歩となります。
4、病院の外に人間関係を作る
その上で重要になるのは、人間関係の幅を広げる事です。
どうしても病院の中で日常と人間関係が終わってしまうと、仕事の価値=人間の価値というメンタリティに陥ってしまいがちです。
そうならないためにも、強制的に人間関係を病院の外にも作るべきです。
家族や恋人、趣味、よく飲みにいく店の常連、なんでも良いです。
とにかく病院の外に、1人のホモサピエンスとして関係性を広めてみて下さい。
5、大切な誰かのために生きる
最も強力な方法は、子供を作る事です。
子供が産まれると、血のつながりによって強制的に、親になります。
親子という関係性は、当然ながら強固なもので、当たり前ですが「医師かどうか」なんて、全く関係ありません。
病院の外に人間関係を作り、その関係性が仕事と結びついていない。
その条件を最も早く、強く構築するのが、子孫です。
親として自分が子供から求められ、それに答えるために、働く。あくまで労働はその一部であり、その具体が医師に過ぎない。
この環境を構築する事ができれば、医師人生の幸福はグッと近くなる事でしょう。
▼著者
大石龍之介
株式会社ブルーストレージ代表取締役。医師としてクリニックに勤務しながら、不動産投資家としても活動している。