医者としてのキャリアを考える上で、収入の面は非常に重要です。
生涯年収が高いとされる医者の仕事ですが、その平均額や年収アップの方法について知っておくことは不可欠です。
本記事では、勤務医と開業医の違いを踏まえながら、生涯年収を増やすためのヒントを紹介します。
医者の生涯年収はどれくらい?
医者の生涯年収について勤務医と開業医に分けて紹介します。
勤務医の場合
厚生労働省の「令和5年度賃金構造基本統計調査」によると、勤務医の平均年収は1,430万円です。26歳から60歳まで勤務すると考えて生涯年収を計算すると、上述した約4億8,000万円という金額が算出されます。
出典:厚生労働省|令和5年度賃金構造基本統計調査(職種(小分類)別きまって支給する現金給与額、所定内給与額及び年間賞与その他特別給与額(産業計))
※医師・企業規模計(10人以上)の「きまって支給する現金給与額」「年間賞与その他特別給与額」を参考に算出
勤務医は、年功序列制が一般的で、年齢を重ねるにつれて年収も上がっていく傾向があります。しかし、近年では、医者不足が深刻化しており、若い医者の年収が上昇している傾向も見られます。
開業医の場合
厚生労働省が調査した「「勤務医の給料」と「開業医の収支差額」について」によると開業医の給料は勤務医と比較して、約1.7倍という結果になっています。そのため、単純計算とはなりますが、開業医の平均生涯年収は約7億8千万円程度ということになります。
もちろん、開業医の場合、診療科や立地条件、患者数などによって収入は大きく異なります。また、開業資金や経営リスクなど、勤務医にはない負担があります。
医者の生涯年収が高い理由
医者の生涯年収が高い理由として以下の3つがあげられます。
- 専門性が高い
- 大きな責任が伴う
- 激務である
それぞれの理由について詳しく解説します。
専門性が高い
医者の生涯年収が高い理由の一つは、専門性の高さです。
医者になるためには、大学の医学部で6年間の専門教育を受けた後、国家試験に合格し、さらに実地研修を経て資格を取得します。医者になること自体が簡単なことではないため、年収は高めに設定されています。
また、医療は常に進化しており、新しい治療法や技術を習得するための継続的な学習も必要です。
高度な知識や経験を必要とする職業は限られており、専門性の高さが医者の価値を高め、結果として高い年収に繋がっています。
大きな責任が伴う
医者が受け取る報酬が高いもう一つの理由は、仕事に大きな責任が伴うことです。
医者は患者の健康や命を預かり、診断や治療を行うため、一つひとつの判断が人命に直接関わることがあります。
重篤な患者の治療や手術など、高い専門性を持つ医者ほど責任の重さが増し、それに比例して報酬も高く設定されることが一般的です。
激務である
激務であることも医者の生涯年収が高い理由の一つです。
多くの医者は長時間勤務を余儀なくされ、時には夜勤や緊急対応が発生することもあります。
特に病院勤務の医者は、患者の状態に合わせて迅速に対応する必要があるため、通常の勤務時間だけでなく、夜間や休日に働くことも少なくありません。
また、急患や突発的な手術が発生することもあり、計画通りに進まない日常が続くこともあります。
このように、医者は身体的にも精神的にも非常に負担の大きい仕事であり、その労働の対価として高い報酬が支払われています。
医者は儲からないと言われる理由
医者は儲からないと言われる理由としては以下の2つが挙げられます。
- 税金の負担が大きい
- 開業医には退職金がない
それぞれの理由について詳しく解説します。
税金の負担が大きい
医者は高収入である一方で、税金の負担が非常に大きいことが「儲からない」と言われる理由の一つです。
特に高額所得者に適用される累進課税制度では、所得が多くなるほど高い税率が適用され、収入の一部が税金として差し引かれます。
例えば、一定の年収を超えると所得税や住民税の税率が急激に上がり、実際に手元に残る金額は大幅に減少します。
特に開業医は法人税や事業にかかる固定資産税など、複数の税負担が加わることになります。こうした多くの税金や保険料の負担が、医者の高い収入を実質的に減少させる原因となり、医者は儲からないという声があります。
開業医には退職金がない
開業医には退職金がないことも、医者が「儲からない」と言われる理由の一つです。
勤務医であれば、勤務先の病院や医療法人から定年退職時に退職金を受け取れることが一般的です。
しかし、開業医は自身が経営者であるため、退職金制度はなく、自分で老後の資金を計画的に準備しなければなりません。
病院やクリニックの運営が順調でない場合は、十分な利益を積み立てられず、結果的に退職後の生活が不安定になるリスクも伴います。
医者が生涯年収を上げる方法
医者が生涯年収を上げる方法として、以下の3つを紹介します。
- 専門医資格を取得する
- 開業する
- 副業や資産運用をする
それぞれの方法について詳しく解説します。
専門医資格を取得する
専門医資格を取得することは、医者が生涯年収を上げる方法の一つです。
専門医資格を持つことで、その分野における高度な知識や技術を証明でき、一般的な医者よりも高い評価を得られます。
特に、需要が高い専門分野や、高度な治療技術を要する分野での専門医資格を取得すれば、その分高額な報酬を受け取れます。
開業する
開業することは、医者が生涯年収を大きく上げる方法の一つです。
開業医になると、勤務医とは異なり、自身で収益の管理ができるため、患者数やサービスの質を向上させることで収入を増やすチャンスがあります。
特に、地域密着型のクリニックや需要の高い診療科目を持つクリニックを開業すれば、安定した収入を得られる可能性が高いです。
また、経営努力によってコストを抑えたり、診療内容を拡充することで、利益を最大化できる点もメリットです。
副業や資産運用をする
医者は本業以外でも、その知識や経験を活かして副業収入が得られます。
例えば、医療関連の講演や執筆活動、コンサルティング、オンライン診療などの副業は、比較的時間の融通が利きやすく、高収入を得やすいです。
また、資産運用も収入を増やす方法の一つであり、株式投資や不動産投資など、適切に運用すれば安定した副収入が得られます。
特に、将来の生活資金を確保するために資産を効率よく運用することは重要です。
こうした副業や資産運用によって、本業の収入に加え、複数の収入源を持つことで、生涯年収を引き上げられます。
まとめ
医者の生涯年収は、専門分野や勤務先、開業の有無などによって大きく異なります。
医者は、専門性が高く、大きな責任を負う激務な職業です。
そのため、高い年収が期待できますが、税金の負担や開業リスクなど、考慮すべき点も少なくありません。
医者が生涯年収を上げるためには、専門医資格の取得、開業、副業や資産運用など、さまざまな方法があります。
医者は、自分のキャリアプランに合わせて、適切な方法を選択することが重要です。