border_colorCOLUMNコラム

【元銀行員が教える】医師にできる 「資産管理会社」を使った節税対策とは?【後編】

本記事は過去に勤務医ドットコムが開催したセミナーの内容を記事にしています。

【セミナー登壇者】
西川航志氏(にしかわ・こうじ)
1984年生まれ。三菱UFJ信託銀行で、富裕層のプライベートバンカーとして資産管理、相続、不動産などのトータルコンサルティングを経験。その後外資系の保険会社を経て独立し、コンサルティング会社を設立。これまでの信用実績により、個人融資だけで10億円の融資を受けて資産形成を実践し、100戸以上の収益不動産、自宅マンション、リゾート民泊物件、太陽光設備、コインランドリー施設などを保有してオーナー経営を行う。自身の実体験を生かしてそのリアルを伝えながら、融資アレンジや財務コンサルティングを行う。

記事「医師だからこそできる! 「資産管理会社」を使った節税対策とは? 中編」では、個人事業主の税対策には限界があるので、いずれは資産管理法人設立による税対策が必要になるとお話ししました。

今回の記事では、そのメリット・デメリットについて詳しく解説していきましょう。

○資産管理法人設立の5つのメリットとは?

法人を設立するメリットは、次の5つが挙げられます。

①課税される税率が低い
②個人所得削減が可能になる
③経費計上枠の幅が大きい
④融資・資金調達が行いやすい
⑤相続対策もできる

メリット1 課税される税率が低い


これは、所得税と法人税の税率の違いに起因します。

個人の場合、税率は5〜45%あります。これに住民税10%が加算されると考えてください。

しかし法人であれば、どんなに売り上げが上がったとしても最大で33%というところです。

記事「医師だからこそできる! 「資産管理会社」を使った節税対策とは? 中編」でお話ししたことですが、税対策のひとつのデッドラインは、税率33%です。

つまり、税率33%以上になれば、法人のほうが課税税率が低いということですね。

参考:弥生_税理士相談安心ガイド「法人税とは?税率や課税対象、所得税との違いなどをわかりやすく解説

さらにプラス要素として、今後は個人の課税は増やしていき、法人の課税は減らしていく方向にあります。

ある程度稼いでキャッシュフローが回らなくなってきたタイミング、要は2,000万円以上利益が出てしまうような場合は、法人が絶対に必要となります。

メリット2 個人所得削減が可能になる

これは、不動産を事例に話をしていきましょう。

不動産を買ってオーナーになると、毎月100%の家賃が入ってきます。ここから、ローンの返済額や修繕費、管理費などを支払っていくことになります。

これを、間に資産管理会社(不動産管理会社)を立てます。そして不動産からの家賃を100%不動産管理会社のほうに入れ、オーナーと不動産管理会社でサブリースの契約、要は家賃保証の契約を結んで、75%の家賃を保証するというふうにします。

すると、オーナーの売り上げが25%ダウンするため、売り上げが少なければその分マイナスも多く出せます。


さらにもうひとつ、法人のほうにこの25%の売り上げが入るので、不動産管理法人のほうで法人の税対策をすればいいわけです。

法人のほうにお金が貯まってくると、ほぼ経費の財布として使うことができますし、さらには売り上げが実績として残ると法人で融資をつけられます。
将来的に、個人の物件を法人の名義に変更することもできます。

また、お医者さんの場合は資産管理法人を持つことによって個人の所得を落とすことができます。

たとえば医療機器系の会社に医療コンサルのような形で入ったら、その報酬は法人のほうに入れてもらって法人の売り上げにするというのも、ひとつの方法ですね。

メリット3 経費計上枠の幅が大きい

法人は、仕分けをしっかりすればさまざまなものを事業経費にできます。

まず社長の給与、家族の給与を、給与という経費にできます。個人の場合だと、稼いできた収入を家に入れてやりくりしていますが、それを全部経費にできるのです。

また、お医者さんは退職金制度が整備されていないことが多いですが、退職金の積み立てが可能です。それも経費でつくることができます。

生命保険料も経費になります。個人でも控除になっていますが、ものによっては全額経費になりますので、規模が大きく変わります。

さらに、不動産を法人名義で借りると事務所扱いにできますので、100%経費で出せます。
マイナスが出た場合の繰り越し控除というのも使えますし、あとは普段の生活に使う食費とか活動経費、仕分けをしっかりすれば大体のものが必要経費として計上可能になります。

メリット4 融資・資金調達が行いやすい

法人と個人では信用が大きく変わり、法人ならいろいろな方法で資金調達ができます。

個人だと個人の住宅ローンくらいですが、法人なら出資、普通の借り入れ、補助金、クラウドファウンディングも可能です。

メリット5 相続対策もできる

個人の資産が増えたら相続税がその分増えますが、法人は死なないので、法人名義の財産は相続対象から省かれます。

個人資産で全部持ってしまうと相続で多くを国に持っていかれてしまうのですが、それを防げるというメリットがあります。

○資産管理法人設立のデメリットは?

このように、法人設立にはたくさんのメリットがありますが、デメリットもあります。

代表的なものとしては、次の3つです。

①設立費用と維持費用がかかる
②会計や事務手続きが増える
③社会保険加入が必要になる

デメリット1 設立費用と維持費用がかかる

ある程度の所得に達していないと、経費の方が多くなってしまいます。

デメリット2 会計や事務手続きが増える

これは個人では手に負えなくなりますので、税理士さんに任せる形になりますが、その分コストもかかります。

デメリット3 社会保険加入が必要になる

設立してすぐ必要になるわけではなく、ちゃんと売り上げがたつまで保留しても大丈夫ですが、従業員を雇うなど事業として考えていくのであれば、いずれ社会保険加入が必要になります。

それなりの売り上げがないとメリットが少なくなりますから、売り上げがどこまでたつかというのをしっかり判断した上で、設立にふみ切ったほうがいいでしょう。

○財務改善の3つの事例

最後に、私がコンサルティングを行って財務改善をしたお客様の3つの事例をご紹介しましょう。

事例① 既婚・子3人の30代整形外科医〈年収2,400万円〉

この方は、一括償却スキームで、個人の税対策をしました。

事業投資をして、総合課税で課税税率を落とし、加えて個人事業主届を出して、接待交際費や交通費など日々かかる費用を経費計上できるようにしました。

それによって所得税・住民税合わせて700万円程度の税金が全額還付されました。所得税だけを気にする方が多いですが、実は日々の生活の負担は住民税のほうが大きいんですね。
この方の場合は、1000万円近く収入のある方なら、住民税で150〜200万払っていることになります。

ただ、収入が上がってきているので、奥様名義で法人設立をし、所得移転スキームで個人所得を削減することにしました。確定申告で住民税非課税世帯まで持っていって、3人のお子さんにかかるお金に、国の子育て支援をフル活用できるような形にもしました。

現在は、法人の売り上げがけっこう立ってきたので、自宅を事務所にして賃貸にしようと動いているところです。

事例② 既婚・子無しの30代美容外科医〈年収5,000万円〉

年収が5,000万までいくと、結構大変です。

「一括償却スキームの税対策で事業投資、個人事業主届出で経費計上を装備」というプランは事例①と一緒ですが、この方の場合、不動産を21件保有されていたので、不動産コンサルも入り、不動産管理会社として先ほどお話ししたサブリーススキームで個人の売り上げを落とした形にしました。

ただ税還付だけを狙ったわけではなくて、自宅購入のための住宅ローンアレンジも行い、どのぐらいまで所得を落としても住宅ローンを借りられるかということをコンサルティングしたのです。

結果として、所得税・住民税合わせて1200万円程度の効果を出すことができました。法人設立をしたので、所得移転スキームで個人所得を削減していくことができたのです。

事例③ 既婚・子3人の30代産婦人科医〈年収2,600万円〉

一括償却スキームの税対策で、「事業投資」と「個人事業主届出で経費計上」というポイントは、前の2つの例と同様です。

この方は結果として、所得税・住民税合わせて600万円程度の税金が還付できました。

区分不動産を15件、一棟ものを1件保有されていたので、不動産管理会社でのサブリーススキームをして個人不動産のマイナスを作り、総合課税で対策をしました。

所得移転も行い、お医者さんでバイトや雇われ院長をしているところの報酬を法人のほうに入れてもらって法人で実績を作り、それをもとに融資アレンジをして、法人名義で買うというところまでやりました。

こうしてかなりの税対策をすることができたのです。

○「勤務医の財務改善ルーティン」で資産が増える流れをつくる


3つの事例のそれぞれでは「勤務医の財務改善ルーティン」、すなわち「キャッシュを資産化⇨個人を事業主化⇨法人設立⇨個人の所得を法人にもっていく所得移転」というルーティンが回り続けて、資産が増えていく流れをつくっています。

私たちはこのように、規模を作るための財務コンサルティング、その過程で必要な個人事業主の開業や法人設立のコンサルティング、そこに至るための融資のアレンジまで含めてコンサルティングを行っています。

節税や資産形成についてご質問がある方やご検討中の方は、お気軽にご相談ください。
家族構成や収入など人それぞれ違いますので、ご状況をうかがって今後どうしたいかというご希望をふまえて、将来設計をご一緒にしていければと思います。

元銀行員連載シリーズ


▼セミナー登壇者
西川 航志
株式会社アンビション代表取締役。
アンビションはあなたのマネーフローを構築し、資産を育て、⽣活を豊かにするお⼿伝いをいたします。

URL:https://ambition-ts.com/

無料税金対策/資産形成セミナー情報

勤務医ドットコムでは、医師の方向けに無料セミナーを全国各地で開催しています。
効果的な節税の方法や相続、資産形成、副業など、収入の多い医師の方にとって有益な情報をお伝えしています。セミナーでは個別相談も実施していますので、あわせてご活用ください。
先着順となっておりますのでお早目にお申込みください。

無料税金対策セミナー一覧はこちら

ピックアップ記事

  1. 50代、勤務医、Tさん(年収3500万円)の不動産投資事例
  2. 20代、勤務医、Sさん(年収1000万円)の不動産投資事例
  3. 10年後も管理して貰いたいけど……管理会社倒産に対する不安を解消
  4. もううんざり……不動産投資の電話営業
  5. 豊かなドクターが必ず持っている金融リテラシーとは?

関連記事

  1. コラム

    【現役医師連載コラム】医師に必要な「営業力」とは−前編−

    僕の感覚的な話ですが、うまくいっている自由診療領域の院長は、営業マンと…

  2. コラム

    不動産投資の「利回り」とは?利回りの目安はどのぐらい?

    不動産投資を行う上で、一番重視しなければいけないのが「支出(返済)と収…

  3. コラム

    【現役医師連載コラム】「医師免許を取れば一生安泰」と思っている医学生が知るべき3つの事

    医師免許を取れば、一生安泰だ。そう周りには言われていましたし、…

  4. コラム

    【税理士連載コラム】当直手当には税金がかからないの?

    一般的に、「当直」とは所定労働時間外に通常労働とは異なる軽微な労働(基…

  5. コラム

    【現役医師連載コラム】モテる勤務医、モテない勤務医

    同じ勤務医でも、モテる勤務医とモテない勤務医がいます。一体なぜ…

  6. コラム

    資産形成は早めに始めるのが肝! 若いうちに知っておくべき投資のルール

    資産形成をはじめてますか? 「まだ若いから自分には早い」と思った勤務医…

#
keyboard_arrow_up