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【現役医師連載コラム】日本の人口減少、医師は本当に余るのか

最近、こんな言葉を耳にしませんか?

・日本の人口減少
・先が見えない未来
・AIに仕事が奪われる

週刊誌、ネットニュース、ワイドショー、あらゆるメディアでよく見ますよね。中にはもう見飽きた、という方もいらっしゃるのではないでしょうか。

実際、これらは嘘ではありませんが、恐怖が先行するあまり正しく噛み砕いて理解している人は、少ないと思います。

今回は、そんな日本という国の人口減少と、医師が本当に余るのかどうか、という事について解説していきたいと思います。

日本の人口減少、どんな感じ?

ご存知の通り、日本は人口が2008年ピークを迎え、既に減少し始めています。

2021年はそれほど減少せず、ピークの1.28億人から少し減って1.25億人です。正直なところ、まだあまり変わっていません。

しかしながらデータから読み解けば、日本の人口減少はここからが本領発揮であり、減少予測曲線の接線の傾きは、ここからさらにキツくなります。

つまり、人口減少速度がスピードアップする段階に入りました。

人口動態って、そもそも正確なの?

ここで大前提として、1つ疑問があると思います。人口減少の予測データ、どれくらい正確なの?という事です。

これに関しては、結論から言えば「限りなく正確で、予測を上回る事は今までほとんどなかった」という事です。

人口静態、つまり今の人口に関しては、国勢調査によって、かなり正確に調査されています。ある程度の規模を調査すれば、統計的に母集団を代表する集団といえるようになるので、あとはそこを等倍すれば、母集団に限りなく近づくため、統計的にかなり正確な数字がでます。

人口動態、つまりこれからの人口減少の予測に関しては、多少の増減があります。

基本的には死亡する日本人の数から、新たに生まれてくる日本人の数を差し引いて、その分だけが純粋に減少する分と計算されます。

死亡する日本人の数は、結構正確な予測数値が出ており、毎年あまり変わりません。新型コロナの影響も、アメリカやヨーロッパでは大打撃を与えているものの、日本ではそれほど死者数が増えなかったため、人口減少への寄与度は他国に比べて低いといえるでしょう。

ここで最も重要なのが、生まれてくる子供の数です。

これは主に合計特殊出生率を割り出して、それを予測して算出しますが、ここが政府の予測数値よりも実際の数字が下回る事が、よくあります。その度に下方修正しているわけですが、それでもさらに下回るので、修正だらけです。

これは一言で言えば、子供を産まなくなっている、その「産まなくなる」速度が、予想を超えてはるかに早いという事です。

合計特殊出生率は、人口を維持するためには2.1〜2.2くらいが必要だと言われていますが、現状の日本は1.2程度であり、お隣の韓国に至っては0.7という、悲惨な数字が出ています。

以上から、かなり正確な数字が出るので大きく乖離する事はありませんが、過去のトレンドを見るに、上方修正する事はほとんどなく、予想よりも生まれてくる子供の数がグッと減ってしまっているので、予想より速く人口減少が進むのはありそう、と言えるでしょう。

人口減少、本当に医師が余るのか?

問題は、医師が余るのかどうか、という事です。

これについてはものすごく複雑な議論になるので、あくまで僕の予想という事で述べておきますと、余ると思います。

人口が減れば、サービスの受け手は減る。サービス提供者の需要も減少する。当たり前ですよね。

そんなの全ての業種でそうだろ、と言われますと、そうとも限りません。

人口が増える東南アジアを商圏として進出している企業は、むしろ増える人口に対して商売を行えるわけですので、パイは増えると思います。

今後厳しいのが、国内需要だけをターゲットにしている産業です。内需は減少が必発ですから、早めに手を打つべきです。

ひとくちに内需と言っても、今後とも東京、埼玉、千葉、神奈川、福岡、名古屋、札幌辺りの人口は増える予定ですので、都市部においては内需を攻めるスモールビジネスを展開するのは、アリだといえるでしょう。

一方で、絶対に医師が余る、とも言い切れない要素も、1つだけあります。それは、医師の病院外への進出です。

つまり、医師が病院で医師として勤務するだけではなく、起業したり、何かしら別の形で社会に関わり始めて、価値を提供し始めると、話は少し変わります。

日本の医師の内需は減りますが、供給もある程度減ると思います。旨みを感じなくなった医師が、病院で医師として働くのから撤退して、供給が減る可能性は十分にあると思うからです。

しかしながら、そういった活動ができる医師は限られていて少数でしょうから、結局は減っていく内需を一部の医師が抜け出てそれでも相対的には増えて見える医師の供給が、パイの奪い合いをする、という構図になるのは間違いありません。

そういう意味では、医師が余るというのはあり得る話でしょう。

医師が余ったら、どうすれば良いのか

じゃあどうすれば良いんだという話ですが、これには色々な対策方法があります。

1つは、万全で莫大な、強固な資産体系を築いておく事。労働の旨みが減ったら、働くのをやめれば良いじゃないという事ですね。

1つは、別のスキルを身につけ、異なる人脈や組織に身を置く事。労働者として「日本の医師」という価値以外にも、発揮できるようになっておく、という事ですね。

大まかに分けてこの2つがあるかな、と思いますが、僕自身は両取りしてしまって良いと思います。つまり、資産構築をしながらもスキル構築をしていく、という事です。

これからの時代、日本で医師が生きていくのもそれなりに大変な時代になると思います。

しかし裏を返せば、誰にでもチャンスがある世界ともいえるので、硬直したままの社会よりは、良いのかなあ、なんて思ったりします。

現役医師連載シリーズ


▼著者
大石龍之介
株式会社ブルーストレージ代表取締役。医師としてクリニックに勤務しながら、不動産投資家としても活動している。

URL:https://bluestorage.co.jp/

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