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【現役医師連載コラム】医師の年収が高過ぎるから分配しようって話

皆さんこんにちは、いきなりですが、お医者さんの給料がニュースになりました。

以下、引用です。

財務省は8日、財政制度等審議会(財務相の諮問機関)の分科会で、看護師の平均賃金が月収換算で医師の4割にとどまるとの分析を示した。介護職員や保育士はさらに低く、全産業平均より月収が約5万円下回っていた。女性や非正規雇用が多いためで、分配の在り方を改善すべきと提言している。

財務省によると、医療や福祉の現場で働く女性の割合は2020年度に76.9%で、全産業平均の45.3%と比べて突出して高い。雇用の約4割が非正規で全体として賃金が低く抑えられる構造にあり、岸田政権は看護師や介護職員、保育士の収入を増やすよう、国が決定する「公的価格」の在り方を見直す方針だ。

看護師の月収、医師の4割―財務省、分配改善を提言
https://nordot.app/830362794514284544?c=39546741839462401

…と、あんまり何を言いたいのかわからないニュースなのですが、インターネット上では結構炎上しておりました。

一言で申し上げますと「医者の給料は高過ぎる!看護師や他の職業に分配しろ」勢と「医者の給料は諸外国に比べてそんな高くなくて…」というお医者さん勢、2軍に分かれて戦っている感じでした。

医者の給料はどこから来ているか?

そもそも、医者の給料はどこから来ているのでしょうか?

当たり前ですが、病院に入ってくる収益から支払われています。

では病院に入ってくる収益は、どこから来ているのでしょうか?

保険診療の場合、国の歳出である医療費と、国民の皆さんが病院にはらう医療費の合計金額から支払われています。

厳密には、ベッド差額費用や、いわゆる自費部分もありますから、綺麗に真っ二つというわけではありませんが、概ねこの2つです。

保険診療の場合、多くは国の医療費で賄われており、その財源は国債発行と国民健康保険料であるため、言ってしまえば国民の皆さんからもらったお金で、お医者さんの給料は出ています。

給料の構造から言えば、保険診療をしている限りは限りなく公務員に近い、財源と収益構造になっています。

それでいながら、医療法人として税制上優遇され、そうでなくても開業すれば個人事業主にはなれてしまうお医者さんは、確かに優遇されているかもしれません。

では自由診療の場合、どうでしょうか。

これは完全に、市場原理に基づいて国民の皆さんが消費するお財布から、直接支払われています。公務員のような収益構造の保険診療とは、完全に異なっています。

そもそも医者の給料は高いのか?

医者の給料はそもそも高いのか、という話ですが、基本的には全ての国で、各国の平均年収の2〜4倍くらいに収まっている事が多い印象です。

日本のお医者さんはどうかというと、日本は平均給与が400万円くらいですから、概ね平均1200万円のお医者さんは3倍という事で、まあフツーなラインではないでしょうか。

もっと物価が高くて給与水準が高い国では、当然平均給与が800万円で、医師が3000万円近いという国も、当然あります。

日本だけ特別高いという感じもなく、物価調整した給与では、日本の医師がそれほど特別低い感じも、正直あまりしません。

なぜ医者の給料が高いのか?

なぜ医者の給料が、世界各国で高いのか。理由は単純明快です。難しいからです。

医療は昔と異なりかなり発展し、専門分化し、学ばなければならない事も昔より増えたと言います。教科書もどんどん分厚くなっているそうですね。昔僕の先輩が「お前らは可哀想だよ、俺が学生のころなんて教科書ペラペラだったぞ」と言っていたのを、覚えています(笑)

学問として成熟した医学を、キチンと学んで修めるためには、結構な時間と労力が必要です。日本では最低6年、大学に通わないといけません。

大学生活も、一般的な大学生とは程遠いほど忙しいです。めちゃくちゃ勉強します。

この時間と労力に見合うだけの対価がなければ、誰もお医者さんなんてやってくれなくなってしまいます。その結果、地球上ではお医者さんの給料が一般的な仕事の数倍高い、という水準で落ち着いているわけですね。

同時に高等学問であるが故に、入学試験もある程度厳しくしないといけませんから、急にお医者さんをガッと増やすわけにも、いきません。需要と供給の、供給がある程度絞られてしまう構造になっているわけです。

医者の給料減らすなvs医者の給料減らせ、から感じた事

さて、このような状態で、まあお医者さんの給料は確かに高いけれど、諸外国に比べてそんなズバ抜けて高いわけではありませんし、構造上それは不可抗力なので許して欲しい、というのが僕の感想です。

しかしながら、こういった「医者を引き摺り下ろそう」というような風潮が生まれてしまうのも、そういう論調に賛同者が結構多くて、インターネットで1つのムーブメントになってしまうような状況を見ていると、日本という国全体に余裕がなくなってきている証拠だなあ、としみじみ実感致します。

現役医師連載シリーズ


▼著者
大石龍之介
株式会社ブルーストレージ代表取締役。医師としてクリニックに勤務しながら、不動産投資家としても活動している。

URL:https://bluestorage.co.jp/


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