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開業を考える勤務医向け 「家族経営」の節税メリット 

開業医に多く見られる家族経営という形態。クリニックは、家族経営のような“個人経営”か、または“医療法人”にするかによって控除対象などが大きく変わるため、これから開業を考えている医師はどちらの形態をとるか、事前にこの二つの違いを熟知しておく必要があります。そこで今回は家族で医院を運営する際に必要な税の知識を解説します。

個人経営の場合は配偶者の給料まで経費にできる

個人経営とは、クリニックを法人(企業)にするのではなく、オーナー(院長)の個人事業として経営する方法を指します。そのため、オーナーは「法人の代表(企業の社長)」ではなく、「個人事業主」というカテゴリーに属することになります。

個人事業主としてクリニックを経営した場合、個人事業主のみに認められた「専従者控除」という制度を利用することができます。専従者控除とは、家族に給料を支払うことができて、なおかつそれを経費として計上することができる制度です。支払う税金の額は収入から経費や控除を差し引いた所得額で決まるため、専従者控除を利用することで節税効果が期待できます。

専従者控除を利用するためには、主に以下の三つの条件を満たす必要があります。

①個人事業主と生計をひとつにして暮らしている配偶者や親、祖父母、子ども
②その年の12月31日現在で、年齢が15歳以上(学生は原則不可)
③年間のうち6カ月以上はその事業に従事すること(削除)」。

例えば、オーナーの妻をクリニックの従業員にして、妻が6カ月以上事業に従事できればこの条件を満たすことになります。手続きは税の申告法によって異なり、白色申告は手続き不要ですが、青色申告の場合は届出書を税務署に提出します。

「妻の給料を経費にできる」となると、年間1,000万円など、できるだけ高額の給与設定にして節税しようと考える方もいるかもしれません。しかし、給与額には“適性額”があります。仮に受付業務しかしていない妻に年間1,000万円の給与を払い、同等の仕事をしているほかのスタッフが400万円だった場合、これは経費として認められない場合もあります。

医療法人にすれば配偶者以外の家族も!

ではクリニックを医療法人にした場合はどうでしょうか。個人事業主の場合はオーナーに入ってきた収入(診療費などのいわゆる売上)から妻やスタッフに給与を支払うという形態でしたが、医療法人の場合はオーナーが代表(社長)になり、法人からオーナーやスタッフが給料を受け取る形態になり、お金の流れが大きく異なります。

メリットとしては、オーナーは受け取るお金が「収入」から「給与」へと変わるため、給与所得控除を受けることができるようになり、節税効果が見込めます。さらに所得税や住民税もオーナーの個人課税から法人の法人税へと切り替わり税率が下がるため、こちらも節税できる可能性が高くなります。

また、医療法人にした場合、妻以外の家族も「非常勤役員」にすることで非常勤報酬を支払うことができるようになります。法人の売上を報酬(経費)で減額することで、支払う法人税を抑えることが可能です。

ほかにも、個人事業主では認められない退職金をオーナーや家族に支払うことができる、事業拡大がしやすい、子どもへの事業継承では開設許可が不要になるためスムーズになる、などのメリットがあります。

ただし、医療法人はメリットばかりではないことも付け加えておきます。例えば、社会保険や厚生年金。個人事業主の場合は加入が義務ではなかったこれらの制度が法人化することで義務になります。社会保険料や厚生年金料は、給与の額によって増額しますが、これがかなり大きな金額になるため、事業者にとっては負担になります。

家族が同じ職場で働くメリット、デメリット

最後に、家族経営ならではのテーマである「家族が同じ職場で働くこと」についてのメリット、デメリットをご紹介します。いつも一緒に働けるのだから楽しいことばかり――であればよいのですが、実際はそうでもないケースがあるようです。

まずはメリットを挙げてみましょう。一般企業において「経理担当者が大金を持ち逃げした、使い込みをしていた」というニュースを目にすることがあります。その点、妻が経理を担当してくれれば、“同じ財布”で生活をともにしている家族のため、このような被害に遭う可能性は格段に少なくなるでしょう。

また融通が利く、甘えられる、というのも大きなメリットです。家族以外の一般スタッフに対しては急なシフトの変更や休日出勤といった定型以外の業務は頼みづらいものですが、相手が家族であれば事情を話したうえで「ちょっとごめん、頼む!」の一言で受け入れてくれるかもしれません。

一方のデメリットは、この“甘え”が思わぬトラブルを生む可能性がある点です。ツーカーの夫婦関係だからこそ、「妻なら分かってくれる」「夫ならこうするはずだ」と、事前確認せずに物事を進めてしまい、あとから「こうじゃなかった」「なぜ事前にちゃんと確認してくれなかったんだ」と揉めるケースもあるようです。

また家も職場も一緒ゆえに、関係性が悪化すると気持ちが休まる場がないため、それがいつまでも続きやすいという点もあります。一般スタッフであれば、家に帰り、一人の時間に気持ちを静めることで、翌日からまた気分を一新して頑張ることができるかもしれませんが、常に一緒の家族では関係性を良くするための“工夫”が必要になります。

まとめ

「専従者控除」が認められている“個人経営”、法人税により節税効果があり、妻以外の家族にも報酬を支払える“医療法人”。それぞれにメリット、デメリットがあるものなので、事前にどちらを選択するか、よく検討しなければなりません。家族経営の場合は、家庭と職場で公私のけじめをきちんとつけた、かしこい医院運営が何よりも重要だといえます。

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