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進化を続けるAIは医療現場にどのような影響を及ぼす?

アメリカでAI(人工知能)による臨床実験が進み、「将来は医師の仕事が減る」という試算が出ているのをご存じですか? 2013年に発表されたオックスフォード大学のマイケル・A・オズボーン准教授の論文「雇用の未来」により、今後10~20年でAIにより代替される可能性のある職業が日本でも大きな話題になりましたが、医師もその例外ではないかもしれません。AIの領域が拡大する未来に、人間の医師だからこそできることとは何でしょうか。

医師の仕事はAIに奪われる?

アメリカでは既にAIを搭載する医療ロボットがつくられていて、実際に臨床試験を行ったところ「医師の仕事の約8割はロボットで代替できる」という結果が出ているそうです。

たとえば、最初に患者の様子から病名を判断するとき、医師は検査データや外見などから判断しますが、AIはデータから異常値を見つけて病名を特定し、適切な治療法を提示するようになるといわれています。しかも、人間では10日間かかる診断も、AIであれば瞬時にできてしまうなど、診断のスピードについても高い優位性があります。

実例を挙げると、アメリカのEnlitic社はディープラーニングを用いたAI「Enlitic」を開発していて、画像検査の結果から癌を発見します。Enlitic社は2016年に「ディープラーニングの肺がん検出率は人間を上回る」と述べています。

ここで出てきた「ディープラーニング」という技術がAIのキーポイントです。ディープラーニングは「深層学習」と呼ばれるもので、人間の脳と同様に情報を与えれば与えるほど学習していく機能を指します。たとえば、AIに犬の写真を見せて「犬」と認識させるためには、AIが「犬とはこういう特徴をもっているもの」と認識する必要があります。その認識のために膨大な情報を与え、AI自体が犬の定義をすることで「これは猫ではなく犬だ」と判断することができるのです。

今後、ディープラーニングはさらに進化し、AIはより膨大な情報を読み取り、学習していくことができるようになると考えられています。そうなると、蓄積されたデータ量と分析力では人間の能力はAIに叶わないのかもしれません。

人間の医師にしかできないこととは

この将来予測の通り、AIが医療行為を行えるようになり、医師の仕事が減少する可能性はあります。実際に一部の領域では今後、AIに譲っていくことになるでしょう。しかし、全ての医療領域でAIの方が優れているわけではありません。まず、病名の診断にしても、AIは患者のデータと過去の蓄積データを照らし合わせて分析したものであり、それが100%正しいわけではありません。過去のデータに合致しない症例も当然あり、それを診断するには人間の医師の経験や実績に裏付けされた勘も重要な技術です。

また、AIは人間のように相手とコミュニケーションをすることができません。つまり、「見る」「聞く」「感じる」というアナログな能力は備わっていないのです。病名の診断を告げられるにせよ、「AIから無機質に伝えられるのは抵抗がある」と考えている人も大勢います。

こう考えると、人間のもつ強みはコミュニケーション力です。データ分析はAIに任せて、医師は患者と温もりのある密なコミュニケーションをとり、AIでは診断しきれない僅かな変化などを察知するようになる。こんな未来が近々本当にやってくるかもしれません。

AIと共存しよりよい未来へ

現段階では、AIは医師にとって「医療の補助ツール」と考えるのが適切でしょう。全ての医療行為がAIに代替されて、医師の仕事が完全に奪われるということは今のところなさそうです。

また、「AIに仕事を奪われる」というと、「医師 VS AI」の構図で考えてしまいますが、実際はそうではなく、お互いの強みを生かして、弱点を補完し合うことが重要です。

つまり、未来の医療業界は「医師 vs AI」の構図ではなく、「医師とAIが“共存”する世界」になるのではないでしょうか。敵ではなくパートナーであるAIと患者の健康を守り、病気に対してはスピーディに適切な処理をしていくチームです。

現在でも医療の現場にはたくさんのコンピュータやロボットが導入されていますが、医師はいなくなっていません。今後もAIのように新たな技術が現れるのは当然のことで、医師に求められるのはそれをいかに適切に使いこなすか、ということでしょう。

医師とAIが共存して一つのチームになった世界では、より人間は健康に、長生きできるようになるのかもしれませんね。

まとめ

AIの進化は止めることができません。どんなに個人が抗おうと、AIは日々進化し、医療現場の状況を変えていきます。ただ、AIは医師の仕事を奪う敵ではありません。共存していくパートナーであり、人間の負担を減らし、時間的な余裕をもたらしてくれます。激務に追われて疲弊している医師にとって、この「時間的な余裕」は何にも代えがたいメリットといえるのではないでしょうか。

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